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部分時価評価法と全部時価評価法


子会社を支配すること

親会社が子会社を支配したということは、子会社の株式を取得することで子会社の資産・負債をまとめて取得したということができます。よく「連結財務諸表原則では、子会社の資産及び負債の評価についてパーチェス法(買収法)の考え方を取り入れている。」などと表現されますが、「買収(purchase)」法なので、子会社の資産・負債は子会社の個別財務諸表上の簿価ではなく公正な評価額(時価)で評価する必要があります。

すなわち、親会社が子会社の支配したということは、支配獲得日に子会社の資産・負債を時価で評価して購入したと考えているということです。ここで子会社の資産・負債を時価で評価する方法として、部分時価評価法と全面時価評価法の2つの方法があります。



部分時価評価法と全面時価評価法

部分時価評価法とは、子会社の資産および負債のうち親会社の持分に相当する部分については株式の取得日ごとに当該日における公正な評価額(時価)により評価し、少数株主持分に相当する部分については子会社の個別貸借対照表上の金額による方法をいいます。

それに対して全面時価評価法とは、子会社の資産および負債のすべてを支配獲得日の公正な評価額(時価)により評価する方法をいいます。

なお、公正な評価額(時価)による評価額と当該資産および負債の個別貸借対照費上の金額との差額は、子会社の資本とします(以下の例では「評価差額」として処理しています。)。


部分時価評価法と全面時価評価法の例示 -部分時価評価法-

部分時価評価法と全面時価評価法の違いを考えるために、1つの例を作ります。
下の図は、以下の条件で平成×年12月31日における連結貸借対照表を作成するために「個別会計上の個別財務諸表」を「連結会計上の個別財務諸表」へ修正するまでの過程を示しています。
条件1:株式会社P社は、平成×年12月31日に株式会社S社の発行済株式の80%を160,000円で取得しました。
条件2:平成×年12月31日におけるS社の土地の公正な評価額が300,000千円とし、その他のS社の資産・負債の公正な評価額と子会社のB/S上の金額は同額とします。



 



部分時価評価法と全面時価評価法の例示 -全部時価評価法-

部分時価評価法の場合と同じ例について全部時価評価法によると以下のようになります。
下の図は、以下の条件で平成×年12月31日における連結貸借対照表を作成するために「個別会計上の個別財務諸表」を「連結会計上の個別財務諸表」へ修正するまでの過程を示しています。
条件1:株式会社P社は、平成×年12月31日に株式会社S社の発行済株式の80%を160,000円で取得しました。
条件2:平成×年12月31日におけるS社の土地の公正な評価額が300,000千円とし、その他のS社の資産・負債の公正な評価額と子会社のB/S上の金額は同額とします。



【連結財務諸表原則】第四、二 子会社の資産及び負債の評価
1. 連結貸借対照表の作成に当たっては、支配獲得日において、子会社の資産及び負債を次のいずれかの方法により評価しなければならない。

(1)子会社の資産及び負債のうち、親会社の持分に相当する部分については株式の取得日ごとに当該日における公正な評価額(以下、「時価」という。)により評価し、少数株主持分に相当する部分については子会社の個別貸借対照表上の金額による方法(以下、「部分時価評価法」という。)

(2)子会社の資産及び負債のすべてを、支配獲得日の時価により評価する方法(以下、「全面時価評価法」という。)

2. 子会社の資産及び負債の時価による評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額(以下、「評価差額」という。)は、子会社の資本とする。


連結会計



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