実際の商法の条文はカタカナまじりで表現が古く、読みにくい文章のため、ここではその商法の条文を読みやすいよう修正して公開しています。


第一編、第五章 商業帳簿
(商人全般に対する規定)

32条 商業帳簿

@ 商人は営業上の財産及び損益の状況を明らかにするため、会計帳簿及び貸借対照表を作成しなければならない。
A 商業帳簿の作成に関する規定の解釈については公正なる会計慣行を斟酌しなければならない。


33条 会計帳簿及び貸借対照表

@ 会計帳簿には次の事項を整然かつ明瞭に記載しなければならない。
開業の時及び毎年一回一定の時期における営業上の財産及びその価額、会社の場合は成立の時及び毎決算期における営業上の財産及びその価額
取引その他営業上の財産に影響を及ぼすべき事項
A 貸借対照表は開業の時及び毎年一回一定の時期,会社の場合は成立の時及び毎決算期において会計帳簿に基づきこれを作らなければならない。
B 貸借対照表はこれを編綴し又は特に設けたる帳簿にこれを記載しなければならない。
C 貸借対照表には作成者が署名しなければならない。


34条 財産評価の原則

@ 会計帳簿に記載すべき財産の価額については次の規定に従う。
流動資産についてはその取得価額、製作価額又は時価を附さなければならない。ただし時価が取得価額又は製作価額より著しく低いときは,その価額が取得価額又は製作価額まで回復すると認められる場合を除き、時価を附さなければならない。
固定資産については、その取得価額又は製作価額を附し、毎年一回一定の時期(会社の場合は毎決算期)に相当の償却をし、予測不能な減損が生じたときは相当の減額をしなければならない。
金銭債権については、その債権金額より取立不能見込額を控除した額を超えてはならない。


35条 商業帳簿の提出

裁判所は、申立により又は職権をもって、訴訟の当事者に商業帳簿又はその一部分の提出を命じることができる。


36条 商業帳簿の保存

@ 商人は、10年間その商業帳簿及びその営業に関する重要書類を保存しなければならない。
A 前項の期間は、商業帳簿についてはその帳簿閉鎖の時より起算する。




第二編、第四章、第四節 会社の計算 
(株式会社に対する規定)

281条 計算書類・附属明細書の作成・監査

@ 取締役は、毎決算期に次の書類及びその附属明細書を作り取締役会の承認を受けなければならない。
貸借対照表
損益計算書
営業報告書
利益の処分又は損失の処理に関する議案
A 前項の書類は、監査役の監査を受けなければならない.


281条の2 計算書類・附属明細書の提出

@ 取締役は、定時総会の会日より7週間前に、前条第@項各号に掲げる書類を監査役に提出しなければならない。
A 取締役は、前項の書類を提出した日より3週間内に、前条第@項の附属明細書を監査役に提出しなければならない。


281条の3 監査報告書

@ 監査役は、前条第@項の書類を受領した日より4週間内に、監査報告書を取締役に提出しなければならない。
A 前項の監査報告書には、次の事項を記載しなければならない.
監査の方法の概要
会計帳簿に記載すべき事項の記載がなく、もしくは不実の記載があるとき、又は貸借対照表もしくは損益計算書の記載が、会計帳簿の記載と合致しないときは、その旨。
貸借対照表及び損益計算書が、法令及び定款に従い、会社の財産及び損益の状況を正しく示したものであるときは、その旨。
貸借対照表又は損益計算書が,法令及び定款に違反し、会社の財産及び損益の状況を正しく示さないものであるときは、その旨及び事由
貸借対照表又は損益計算書の作成に関する会計方針の変更が、相当であるか否か、及びその理由
営業報告書が、法令及び定款に従い、会社の状況を正しく示したものであるか否か。
利益の処分又は損失の処理に関する議案が、法令及び定款に適合するか否か。
利益の処分又は損失の処理に関する議案が、会社の財産の状況その他事情に照らし著しく不当である時は、その旨。
第281条第@項の附属明細書に記載すべき事項の記載がなく、又は不実の記載もしくは会計帳簿、貸借対照表、損益計算書もしくは営業報告書の記載と合致しない記載があるときは、その旨。
取締役の職務遂行に関し、不正の行為,又は法令もしくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実
十一 第274条の3第@項(親会社監査役の子会社調査権)の規定により子会社に対し営業の報告を求め又は子会社の業務及び財産の状況を調査したときは、その方法及び結果
十二 監査のため必要な調査をすることが不可能な時は、その旨及びその理由


282条 計算書類・監査報告書の公示

@ 取締役は、定時総会の会日の2週間前より、計算書類、附属明細書及び監査報告書を5年間本店に、その謄本を3年間支店に備え置かなければならない。
A 株主及び会社の債権者は、営業時間内いつでもこれらの書類の閲覧を求め、又は会社の定めた費用を支払ってその謄本もしくは抄本の交付を求めることができる。
B 親会社の株主はその権利を行使するため必要あるときは裁判所の許可をえて子会社の第@項に掲げる書類の閲覧を求め、又はその会社の定めた費用を支払ってその謄本もしくは抄本の交付を求めることができる。


283条 計算書類の閲覧

@ 取締役は、計算書類を定時総会に提出して、営業報告書についてはその内容を報告し、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する議案についてはその承認を求めなければならない。
A 定時総会の招集の通知には計算書類及び監査報告書の謄本を添附しなければならない。
B 取締役は、定時総会の承認を得た後、遅滞なく貸借対照表又はその要旨を公告しなければならない。


284条の2 資本・払込剰余金

@ 会社の資本は、本法に別段の定めのある場合を除き、発行済み株式の発行価額の総額とする。
A 株式の発行価額の2分の1を超えない額は資本に組み入れないことができる。ただし、額面株式については券面額、会社の設立に際して発行する無額面株式については5万円を超える部分に限る。
B 第280条の9の2第A項(端株・失権株の募集)の規定により株主を募集した株式については、その発行価額のうち第280条の2第@項第9号の金額(抱き合わせ増資の際に新株主に払い込みをさせる金額)を超える額は、資本に組み入れることができない。
C 会社の資本は額面株式を無額面株式とし、又は無額面株式を額面株式とすることによって変更しない。


285条 財産評価の特例

会社の会計帳簿に記載される財産の価額については、第34条第二号(固定資産の評価)のほか第285条の2(流動資産の評価)及び第285条の4から第285条の7(金銭債権などの評価)までの規定を適用する。


285条の2 流動資産の評価

@ 流動資産については、その取得価額又は製作価額を附さなければならない。ただし、時価が取得価額又は製作価額より著しく低いときは、その価格が取得価額又は製作価額まで回復すると認められる場合を除き、時価を附さなければならない。
A また、時価が取得価額又は製作価額より低いときは、時価を附するものとすることを妨げない。


285条の4 金銭債権の評価

@ 金銭債権については、その債権金額を附さなければならない。ただし、債権金額より低い代金で買い入れたときその他相当の理由あるときは、相当の減額をすることができる。
A 金銭債権について取立不能のおそれあるときは、取立不能見込額を控除しなければならない。
B 第@項の規定にかかわらず市場価格のある金銭債権については、時価を附すことができる。


285条の5 社債その他の債権の評価

@ 社債については、その取得価額を付さなければならない.ただし、取得価額が社債の金額と異なるときは、相当の増額又は減額をすることができる。
A 第285条の2第@項但し書き(時価評価の強制)及び第A項(低価法の適用)及び前条第B項(時価評価の適用)の規定は市場価格のある社債に、同条第A項(取立不能見込額の控除)の規定は市場価格のない社債に準用する。
B 前二項の規定は、国債,地方債その他の債権に準用する。


285条の6 株式その他の出資の評価

@ 株式については、その取得価額を付さなければならない。
A 第285条の2第@項但書(時価評価の強制)の規定は市場価格のある株式に、第A項(低価法の適用)及び第285条の4第B項(時価評価の適用)の規定は市場価格のある株式で子会社株式以外のものに準用する。
B 市場価格のない株式については、その発行会社の資産状態が著しく悪化したときは、相当の減額をしなければならない。
C 第@項及び前項の前二項の規定は、有限会社の社員の持分その他の出資による持分に準用する。


285条の7 暖簾の評価

暖簾は、有償で譲受け又は合併により取得した場合に限り、貸借対照表の資産の部に計上することができる。この場合においてはその取得価額を附し、その取得の後5年内に毎決算期において均等額以上の償却をしなければならない。


287条の2 引当金

特定の支出又は損失に備えるための引当金は、その営業年度の費用又は損失とすることを相当とする額に限り、貸借対照表の負債の部に計上することができる。


288条 利益準備金

会社は、その資本の4分の1に達するまでは、毎決算期に利益の処分として支出する金額の10分の1以上を、第293条の5第@項(中間配当)の金銭の分配をするごとにその分配額の10分の1を利益準備金として積立てなければならない。


288条の2 資本準備金

@ 次に掲げる金額は、資本準備金として積み立てなければならない。
株式の発行価額中、資本に組み入れない額
株式交換をした場合に、第357条前段(株式交換)に規定する資本増加の限度額が、完全親会社の増加した資本の額を超えるときは、その超過額
株式移転をした場合に、第367条前段(株式移転)に規定する資本の限度額が設立した完全親会社の資本の額を超えるときは、その超過額


289条 法定準備金の使用

@ 前二条の準備金(利益準備金・資本準備金)は、資本の欠損の填補に充てる場合を除き、使用することはできない.ただし、第293条の3(準備金の資本組入)に規定する場合はこの限りではない。
A 利益準備金をもって資本の欠損の填補に充ててもなお不足する場合でなければ、資本準備金をもってこれにあてることはできない。


290条 利益の配当

@ 利益の配当は、貸借対照表上の純資産額より次の金額を控除した額を限度として、実施することができる。
資本の額
資本準備金及び利益準備金の合計額
その決算期に積み立てることを要する利益準備金の額
第286条の2(開業準備費の繰延)及び第286条の3(試験研究費及び開発費の繰延)の規定により貸借対照表の資産の部の計上した金額の合計額が、前二号(二号・三号)の準備金の合計額を超えるときはその超過額
第210条第五号に掲げる場合(閉鎖会社が売渡請求をして取得した場合)において又は第210条の2第@項(取締役又は使用人に譲渡するため取得した場合)もしくは第210条の3第@項(閉鎖会社が株主の相続により取得した場合)の規定により取得して有する株式につき、貸借対照表の資産の部に計上した金額の合計額
資産について時価を附した場合(時価評価の強制及び低価法の適用の場合を除く)において、その附した時価の総額が取得価額の総額を超えるときは,時価を附したことにより増加した貸借対照表の純資産額
A 前項の規定に違反して配当をしたときは、会社の債権者はこれを返還させることができる。


293条 配当の基準

利益又は利息の配当は、各株主の有する株式の数に応じて行う。ただし、第222条第@項(株式の種類による差別)の規定を妨げない。また、会社の有する自己の株式については利益又は利息の配当は行えない。


293条の2 配当可能利益の資本組入

会社は、利益処分に関する株主総会の決議をもって、配当することができる利益の全部又は一部を資本に組入れることができる。


293条の3 法定準備金の資本組入

会社は、取締役会の決議により、準備金の全部又は一部を資本に組入れることができる。


293条の6 株主の帳簿閲覧権

@ 発行済株式の総数の100分の3以上に当たる株式を有する株主は会計の帳簿及び書類の閲覧又は謄写を求めることができる。
A 前項の規定は、 理由を附した書面をもってこれを行わなければならない。


293条の8 親会社株主の子会社帳簿の閲覧権

@ 親会社の発行済株式の総数の100分の3以上に当たる株式を有する者は、その権利を行使するために必要なときは裁判所の許可を得て、子会社の会計の帳簿及び書類の閲覧又は謄写を求めることができる。
A 前項の株主については、前条各号に掲げる事由があるときは裁判所の許可を得ることができない。


294条 株主の検査役選任の請求

@ 会社の業務の執行に関し不正の行為又は法令もしくは定款に違反する重大な事実があることを疑うべき事由のあるときは、発行済株式の総数の100分の3以上に当たる株式を有する株主は、会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に検査役の選任を請求することができる。
A 検査役は、その職務を行うために必要なときは子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。


294条の2 利益供与の禁止

@ 会社は何人に対しても、株主の権利の行使に関し財産上の利益を供与することはできない。
A 会社が特定の株主に対し無償にて財産上の利益を供与したときは、株主の権利の行使に関してこれを供与したものと推定する。会社が特定の株主に対し有償にて財産上の利益を供与した場合において、会社の受けた利益が供与した利益に比べ著しく少ないときも同じである。
B 会社が第@項の規定に違反して財産上の利益を供与したときはその利益の供与を受けたものはこれを会社に返還しなければならない。この場合において、会社に対して給付したものがあるときは、その返還を受けることができる。