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企業会計原則の解説


損益計算書原則九、 当期未処分利益
当期未処分利益は、当期純利益に前期繰越利益、一定の目的のために設定した積立金のその目的に従った取崩額、中間配当額、中間配当に伴う利益準備金の積立額等を加減して表示する。


※現在は会計基準の改正により当期純利益が損益計算書の最終利益となっています。

当期未処分利益

当期未処分利益とは、当期純利益に、前期繰越利益、任意積立金取崩、中間配当額、中間配当に伴う利益準備金積立額を加減したもので、以前の日本の制度会計における損益計算書の最終値となっていた項目で、毎年決算から3ヶ月後に実施される株主総会において実際に処分の対象とされた利益です。



ちなみに「前期繰越利益」とは前期の当期未処分利益を株主総会にて処分の決議を行った際にその期のうちに処分しないで次期に繰り越すと決議されて当期の利益処分に繰り越されてきた前期以前の利益の未処分額です。

「任意積立金取崩額」とは、一定の目的のために設定した積立金をその当初の積立目的どうりに利用するために取り崩す場合のその取崩額のことです。

「中間配当額」とは当期の営業年度中に取締役会の決議をもって株主に分配された金銭の分配のことです。

そして「中間配当に伴う利益準備金積立額」とは、商法の規定により積み立てることが強制されている利益準備金の積立額です。


なぜ最終利益が当期未処分利益だったのか

商法改正前の日本の制度会計における損益計算書では当期未処分利益が最終値となっていましたが本来当期未処分利益は損益計算書において計算表示されるべき項目ではありません。

それなのに企業会計原則が損益計算書において当期未処分利益を計算表示すると規定しているのは旧商法との調整のためにすぎません。

ここでなぜ、当期未処分利益が本来損益計算書に収容されるべき項目ではないかといいますと、そもそも損益計算書とはある一定期間における企業の経営成績を表示したものであるのに対し、当期未処分利益は過年度からの留保利益を含めた上での当期の処分可能な利益であるからです。


現行損益計算書の最終値(商法改正後)

旧商法では、株主総会で処分対象となる利益(処分可能利益)を損益計算書で表示していたため、損益計算書の最終値が当期未処分利益となっていました。

しかし旧商法が会社法へと改正され、商法独自の財務諸表の様式や会計処理がおおむね証取法会計(現金融商品取引法)にほぼ統一されたことにしたがい、商法会計における損益計算書の最終値も当期純利益へと改正されました。


企業会計原則が改正されない理由

したがって企業会計原則が旧商法との調整の観点から最終値を当期未処分利益としていた理由がなくなったため、企業会計原則においても同様に最終値を当期純利益と改正されてもいいのですが、企業会計原則の改正は今のところ行われていませんし今後も特に改正がおこなれる予定もないようです。

この理由は、制度会計上、財務諸表の表示規定として企業会計原則は機能していないためわざわざ改正する意味がないこと、また近年は企業会計原則を改正するのではなく、企業会計基準を制定することで企業会計制度が改廃されていること等の理由により企業会計原則の改正が行われていないものと思われます。





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