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配当可能利益の限度額の意義

商法では株主の有限責任制に伴い、債権者を保護するため、会社の財産が不当に流出することがないよう、配当可能利益の限度額を定めています。



配当可能利益の限度額

商法では債権者保護のための債権担保力の保全の見地から株主に対して配当することができる配当金の上限について制限を設けており、その配当することができる利益の限度額は、貸借対照表の純資産より、①資本金の額、②資本準備金及び利益準備金の合計額、③その決算期に積み立てることを要する利益準備金の額、④貸借対照表に計上されている開業費・試験研究費・開発費の合計額が②及び③の合計額を超える場合は、その超過額、⑤取締役又は使用人に譲渡するため及び閉鎖会社において会社の売渡請求又は相続人からの請求により取得し貸借対照表に計上されている自己株式の合計額を差し引いた金額となります。



貸借対照表に計上されている開業費・試験研究費・開発費の合計額が法定準備金及び利益準備金要積立額との合計額を超える場合には、その超過額部分の利益にも配当制限が課されます。









貸借対照表に計上されている開業費・試験研究費・開発費の合計額が法定準備金及び利益準備金要積立額との合計額と同じか、または少ない場合には、貸借対照表上の純資産額から資本金、法定準備金、利益準備金要積立額、特定自己株式の合計額を差し引いた残りの金額が配当可能利益となります。








開業費、開発費、試験研究費の配当制限の意義

開業費・開発費・試験研究費の3つの繰延資産は、財産価値を持たない繰延資産の中でもその範囲が不明確であり、かつ金額が巨額にのぼる可能性があるため、債権者保護の見地より、配当制限が課されています。



特定自己株式の配当制限の意義

取締役又は使用人に譲渡するため及び、閉鎖会社において会社の売渡請求又は相続人からの請求により取得し貸借対照表に計上されている自己株式は、本質的に資産でなく、資本の控除項目としての性格を有し、更に商法上、これらの自己株式の取得財源は配当可能利益を限度とするという規定が設けている趣旨からみて、配当制限が課されているといえます。






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