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企業会計原則の解説


一般原則三、資本利益区別の原則
資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。


資本取引と損益取引の区別

企業会計において利益は下の図解のように期首の自己資本期末の自己資本とを比較して得られたその純増加額により把握されます。(利益の発生過程等が損益計算書において明示されますが最終的に利益は貸借対照表の資本の増加となる。)

↓の図解の4億が自己資本の純増加額=利益です。
期末自己資本-期首自己資本=利益

しかし自己資本の増加には増資のような資本そのものの増加もあります(これは利益ではない)。

したがって、自己資本そのものの増加と自己資本の運用結果として獲得した増加資本とを明確に区別しなければ増資のような自己資本そのものの増加までもが利益として把握されてしまうことになります。

そこで企業会計原則は、資本そのものの増加である資本取引と資本取引以外の損益取引とを明確に区別することを要請しています。


資本剰余金と利益剰余金の区別

資本利益区別の原則にはさらにもうひとつの意味があります。それが資本剰余金利益剰余金の区別です。

貸借対照表の純資産の部(自己資本)には、株主から直接払い込まれた拠出資本と、過年度に利益として稼得して企業内部に留保されている留保利益とにより構成されています(つまり「純資産の部=拠出資本+留保利益)。

そして留保利益(別名:利益剰余金)とは過年度の事業活動により獲得した利益のうち配当等として処分せず内部留保してきたものです。これを全て処分してしまうことは特に問題ありません(※補足)。

それに対して拠出資本(別名:資本剰余金)は株主から拠出された資本であり事業活動の元手であるためこれを配当等として外部に処分してしまうことは企業が自らの身を削ることを意味します。

企業会計原則は資本剰余金利益剰余金とを明確に区別することで資本剰余金が外部流出してしまうことがないようにと要請しています。


※補足:自己資本利益率

企業会計原則上、利益剰余金は全て処分しても問題ないとされていますがこれはあくまで会計理論上の話であり、利益剰余金といえど自己資本(純資産の部)を構成している「資本」です。



したがってこれを全て処分することは自己資本比率の低下を招き経営の安定性などの問題が生じます。


理解度チェック!

新株を発行した場合の新株発行費は、資本金と相殺することはできないが、株式払込剰余金(資本剰余金)と相殺することはできるか?解答は↓です。


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正規の簿記の原則 明瞭性の原則

解答

新株発行費と資本剰余金の相殺は利益剰余金と資本剰余金を混同することになるため認められない。

ちなみに資本金を減額するには会社法上の減資の手続きをしなければならないため資本金と新株発行費を相殺することはできない。



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