投資キャッシュフローの内容
本業が順調で営業キャッシュフローがプラスになっているような会社の場合、通常は稼いだキャッシュを会社の将来の事業のために投資し、あまった資金(フリーキャッシュフロー)で有利子負債を返済していきます。したがって、営業が順調な会社ほど投資活動によるキャッシュフローがマイナスとなる傾向があります。
営業キャッシュフロー |
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投資キャッシュフロー |
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財務キャッシュフロー |
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したがって、投資活動によるキャッシュフローがマイナスとなることはとりたてて不思議なことではありません。ただし、後述するようにどのような投資を行っているかには注目する必要があります。
企業の経営戦略を示す投資キャッシュフロー
企業が本業の営業活動によって稼いだキャッシュフローを事業に投資する場合、通常企業には次のような選択肢があります。
- 工場設備の充実や修繕といった現事業を維持していくために投資をする
- 全く新しい事業や新商品開発といった新規事業開拓のために投資をする
- 株式投資や国債購入などでとりあえず余剰資金を運用する
その中で、企業がどのような投資活動を行ったかは、その企業がどのような経営戦略を持っているかによります。
例えば、新規事業をどんどん開拓して事業の多角化をはかることを企業戦略としている企業であれば新規事業開発にキャッシュを投資するでしょうし、逆に事業の多角化をしないで現事業を充実させていくことを企業戦略としている企業であれば現事業維持のためにキャッシュを投資するでしょうから。
したがって投資活動によるキャッシュフローの内容を見ることにより、その企業がどのような企業戦略を持っているかを判断することができます。
投資キャッシュフローの具体例
投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得及び売却、現金同等物に含まれない短期投資の取得及び売却等の会社の将来の事業のための投資を記載します。
投資キャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載されます。
- 有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出
- 有形固定資産及び無形固定資産の売却による収入
- 有価証券(現金同等物を除く)及び投資有価証券の取得による支出
- 有価証券(現金同等物を除く)及び投資有価証券の売却による収入
- 貸付けによる支出
- 貸付金の回収による収入
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